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自分らしい時間の過ごし方

デイサービスの1日のプログラムには、制作活動など指先を使う作業やリハビリ、レクリエーション、体操の時間を設けており、ご利用者の身体機能の維持・向上につながる項目、また楽しく体を動かす時間を組み込んでいます。しかし、それとは別に、日頃からご利用者にもご協力いただく作業がたくさんあります。それは、洗濯物をたたんだり、テーブルを拭いたり、布の裁断や、お食事配膳車の運搬等です。もちろん、これら日常生活動作を通して現在の身体機能維持につながれば…という思いもありますが、デイサービスを利用いただく中で、ご利用者がこれまでの生活で経験してこられた作業に取り組んでいただくことは、デイサービスがまた違った意味のある空間になっていると感じます。『安心してお風呂に入りたい』『外出の場にしたい』『体を動かす場にしたい』と、ご利用の目的は様々ですが、その目的以外に、デイサービスを利用し、自分が出来ることを見つけ、それを自分の役割にしていただく。すると、私達職員が声をかける前に、「私、拭きましょか」「それ(布)、切ったろか」と、率先して作業を「手伝おうか」とご利用者からお声をかけて下さるようになりました。今では、役割を見つけられた方もその内容も増えています。役割が浸透し始めると、次は、「私がこっち拭くわ」「ほな、私これたたみますわ」と、ご利用者同士でコミュニケーションの輪が広がっていきます。その他にもご利用者同士がお互いの状態を理解し、声をかけ合っておられる・・・職員が介入するまでにご利用者が自ら役割を見つけ、コミュニケーションを活性化させる。このような様子を見ていると、ご利用者は、デイサービスの中でご自身の居場所を自身で作り出しておられるように感じます。日々のプログラム、そのサービスを安全に提供していく事は私達職員にとって大切な役割でありますが、ご利用者の様子を見守り、時には任せ、その行動を待つ。という事も、私達職員の大切な役割ではないかと感じます。サービスを提供するだけでなく、ご自宅同様にデイサービスがご利用者にとってその方らしい時間を過ごす居場所となるような環境作りを続けていきたいと考えます。

                          

​何かの役に 立ちたいねん!

デイサービスには、様々な年代の方が通苑されており、それぞれのニーズも異なり、入浴・リハビリを目的とされている方々や人との関わりを持つ事で多くの刺激を受けたり喜びを感じる事を目的とされている方々など、穏やかな雰囲気の中でゆとりある時間を過ごして頂いています。
ある朝、ご家庭で生活されているご利用者の送迎中の車内での事。「家では、上げ膳据え膳でな。家の者が、全部やってくれるからありがたい毎日やけど、、、やることないねん。」とご利用者同士のお話が聞こえてきました。その方々は、心の底からご家族に感謝の気持ちを持っておられ「老いては子に従えかな。」とポツリと言われた後、「世話をかけている」というそれぞれの思いを語られていました。
 デイサービスでは、食事、おやつ前のテーブルセッティングをご利用者と一緒に準備するのですが、その時、チラシで折ったゴミ入れを必ず用意します。このゴミ入れは、「家ではやる事がない。」と話されていたご利用者の方々がご家庭で1つずつ丁寧に折られた物を輪ゴムできれいに束ねてご持参下さっています。職員が「いつもありがとうございます。」とお声をかけるとすぐにお顔がイキイキとされ『役に立っている』というお気持ちから「また作ってくるね。」と笑顔で答えて下さいます。人は何歳になろうとも、役割を持つ事で頼りにされたり、幸せを感じたり、やりがいが生まれると表情も変わり元気になります。
 また介護現場では、余暇活動やレクリエーションの時間を活用し、それぞれご自身の役割を自ら作り出して頂けるよう魅力あるプログラムを組み立てています。例えば『壁画制作』においては、物がつかみにくい、ボタンがとめにくいという方々にも、「作り方がカンタン」「作る工程にリハビリ効果がある」「作っていて楽しい」「バリエーションが豊富で選択しやすい」など試行錯誤しながらプログラムを作成しています。そして「この方に出来るかどうか」という結果を求めるのではなく、ご本人の得意とするものを知る事からはじめ、ご本人のペースで自ら「やってみたい」というお気持ちを大切にしながら壁画を仕上げていくと完成度も増してきます。「お役に立てた」「楽しかった」「またしたい」というお声を聞く事が出来た時、皆さまと共に達成感と満足感を味わう事が出来ます。
 これからもご利用者のお声に耳を傾けながら、いつまでもより良い生活が送れますよう職員一丸となり『私たちの役割』として更なる取り組みを続けていきたいと思います。

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